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股関節形成不全と肘関節形成不全

■ 股関節形成不全(HIP DYSPLASIA)

 イヌの股関節形成不全(HD)は二つ以上の遺伝子によって受け継がれる遺伝病です。 遺伝の形態は多遺伝子性と言われます。股関節形成不全については、1930年代に初めて報告されました。それ以降、ショードッグを始めとして、ブリーディングが盛んになるにつれて股関節形成不全は増加しています。
  これが起こるべくして起きたのか、あるいはなんらかの関連性があったのかは証明されていません。ボーダーコリーにおける発生率は他の多くの犬種に比べれば高くはありません。おそらく、ボーダーコリーという犬種がいまだに作業犬として用いられていることから、足に障害を持つ犬たちが淘汰されてきたからなのでしょう。
(画像は正常な股関節)

  股関節は太腿の骨(大腿骨)のからだの中心に近い方の端にある球体(大腿頭部)と骨盤にあるソケット(寛骨臼)をつなぐ、ボールと受け皿です。 もし股関節が正常であれば、ボールは受け皿の中にきちんとおさまっています。通常、生まれたての仔犬達はすべて正常な股関節を持っています。しかし、成長の過程でそれらは異常を来たし、股関節形成不全となるのです。

 問題は受け皿の成長において見られます。イヌの成長と共に、受け皿を発育させるというのは非常に複雑なプロセスが必要です。なぜなら穴を正常に大きく発育させるのは難しいからです。受け皿は骨盤の片側を形成する3つの骨(腸骨、坐骨そして恥骨)が寛骨臼でお互いが接して関節を形成し、成長ゾーンの複雑なパターンを形成しています。寛骨臼が正しく発達するためには、この異なるゾーンの成長率が正確に合致しなくてはなりません。もしそうでなければ、寛骨臼は変形し、球体はもはや正しくおさまっていることが出来なくなります。それが股関節形成不全なのです。

 最近のある研究では、HDのイヌは他の骨の成長ゾーンにも問題をかかえていると示唆していますが、他の場合、原因は主に単一の骨によるものなので、他の骨の問題の原因とはなりません。股関節形成不全は、それだけでは一般的に足の障害を引き起こすことはありません。股関節の脱臼の程度がひどかったり、異常だったときのみ起こります。股関節形成不全の多くのイヌ、特に若年のイヌ達は障害の兆候を示しません。このことは、股関節形成不全が発育途中であらわられる異常で、犬の月齢が少なくとも12ヶ月になってからでないとX線で股関節形成不全と診断できない事実とも関わっています。

  HDのイヌたちの大腿骨頭は受け皿(寛骨臼)にはきちんとおさまっていません。関節は過度の磨り減り(磨耗)に影響されます。この過度の磨り減りが変形性関節疾患(関節炎)を引き起こす原因となるのです。関節への障害の原因は関節炎です。他の要因がこの磨り減りの程度に影響を与えることがあります。

  主な二大要因はイヌの体重と運動の状況です。明らかに体重の重いイヌは股関節により荷重をかけます。したがって大型の、体重の重いイヌほど、小さいイヌより股関節形成不全による障害が生じやすくなります。車や自転車のあとをギャロップのように速く走らせているイヌや、ボールや棒などを取りに行く時のようにジャンプしたり、ひねったり、急に止まったりするような動きは股関節にストレスをかけるので障害が出やすくなります。正常な股関節はこのようなストレスを受けても障害を生じることはありません。したがって、股関節形成不全のイヌが症状を示す年齢と、症状を示す程度は、遺伝の状況に左右されます。つまり関節の発育異常の程度です。環境も、関節にかかるストレスの程度に影響を与えているのです。

(原文:Border Collie Club of Victoria Inc. "Back Chat")

■ 肘関節形成不全(ELBOW DYSPLASIA)

 肘関節形成不全は遺伝の確率が高い疾患です。中型から大型の犬種によく見られる疾患ですが、ボーダーコリーにおいては、発生率は低いとされています。一般的には、両肘に形成不全を示しますが、片方のみの形成不全が認められることも珍しくはありません。


<発症>
 肘関節は、三種類の骨(橈骨(とうこつ:前腕の2本の骨のうち、外側の短い方) 、尺骨(前腕の2本の骨の内側の大きい方)、上腕骨)によって形成されており、 そのすべてが同じく成長し、うまく同調していかないといけません。
 おもに荷重に耐える橈骨と尺骨は対になっています。正常な肘関節は、尺骨の関節表面から橈骨表面へ滑らかに移行することで特徴づけられます。形成不全の肘関節において、尺骨の表面の縁は隣り合った橈骨より上に位置し、橈骨と尺骨の間に段差を作ってジョイントの不一致を引き起こします。段差の高さはわずかに認められる程度のものから かそれ以上の場合があります。これが発症した場合、尺骨にかかる荷重は増加し、その結果中央の鉤状突起に過度の圧力がかかり、鉤状突起の断裂を引き起こします。この症状がもっとも出やすいのは生後 5ヶ月から7ヶ月です。

 "kissing lesion(接吻病変)と言われる表面から深部に彫られた溝は、しばしば断裂の反対側にある上腕骨関節表面に見られ、軟骨フラップ、あるいは離断性骨軟骨症 (OCD)傷害に発展する可能性をはらんでいます。二次的な関節炎は、生後6ヶ月から7ヶ月に明白になります。
 犬によっては、成長の過程で微調整が行われることがあります。すなわち、橈骨、尺骨、上腕骨の3つの骨の異なる成長率を最小限に抑えようとしたり、尺骨を末梢に移動させ、橈骨とより良く一致させようとするのです。
 尺骨の表面が橈骨の表面の下に位置している場合、過度の力が尺骨の関節表面の最上部にある肘の突起にかかってきます。この力は、骨化不全の原因となり、結合しない肘の突起を導きます。 (肘突起癒合不全)

<臨床症状>
 罹患した犬は頻繁にびっこをひき、跛行します。その歩様はしばしば前肢の過度のパディングやバタつきに特徴付けられます。罹患犬は両肘を外側に突き出したり、あるいは内側に縮めることがあり、しばしば脚を外側へ回転 (ガリ股) させるように立ちます。多くの犬がほとんどの時間座っていたり、横になったりしているか、あるいは同年齢の他の犬ほど長い時間は遊ぼうとしません。それらの犬たちはしばしば、大人しいとかなまけものとか言われてしまいます。彼らは起き上がろうとすると頻繁に固まってしまい、しかも疲れやすいように見える傾向があります。
 一般的に運動は脚の症状(痛み)を悪化させます。両肘の関節形成不全の犬にとって、脚の症状は一時的に良くなったように見えたり、あるいは片方の前肢からもう一方に移行したように見えるかも知れません。なぜなら、犬は両方の肘が痛いときは常にびっこをひくわけではないからです。むしろ、彼らは彼らの歩様と歩幅を変えることによって、肘に加重(体重をかけること)しないようにするのです。そのような犬たちは、片方の肘がもう一方よりひどく痛い時だけ脚を引きずるのです。
 検査において、肘の触診がしばしば嫌がられますが、腫れと関節摩擦音(耳障りな)が見つかることがあります。肘の腫れは、運動後に悪化します。場合によっては、関節部が厚く固まってしまうでしょう。筋肉の萎縮 萎縮:筋肉が使われなくなると細くなることもありえるのです。

(原文Border Collie Club of Victoria Inc “Back Chat” )